2013年6月27日木曜日

ロスト・ハイウェイ 1997年/アメリカ・フランス映画/135分(13本目)


もう何回観ただろうか。

もう16年も前の作品なのにこの映画の魅力は色あせることがない。


自分の好きな監督である、デヴィッド・リンチの作品です。
映画好きな人なら知ってると思うけど、
『イレイザーヘッド』、『エレファントマン』、『マルホランドドライブ』、『インランドエンパイア』とか撮った人。
あ、ドラマだと『ツインピークス』だな。


で、デヴィッド・リンチの作品の中でこの映画が一番好きで一番意味わかんねぇ。

何回観てもストーリーがめちゃくちゃ。
わかりそうになってもラストでやっぱり混乱する様に作ってる。
ストーリーが無限ループの様に出口が見えないというか・・・
だからロスト・ハイウェイってタイトルもうなずける。

観客も観てるうちにストーリーを追ってるうちに迷宮入りみたいな。


考える事が嫌いなハリウッド映画好きな人だとダメかも。


自分はこの監督の作品に出合った時に衝撃を受けた。

だってほとんどの作品が意味がわからないんだから。


これは衝撃的ですよ。
意味わかるもん作らなくていいんだと。

開き直りというか
あぁ、観客に一切媚びない監督なんだな。
自分のやりたいことをやってそれがちゃんと評価された人。

逆にこれが評価されなかったら意味のわからない映画撮った、ただの変人ですよ。



で、内容ですけど、
ジャズ・ミュージシャンのフレッドが妻を殺し、牢屋にぶち込まれるんですけど
朝になるといきなり主人公が変わってるんです。

で、いきなり違う主人公の話が始まる。

ここで大部分の観客が置いてけぼりを食らう。

夢オチなのか?男の妄想なのか?
あらゆることを考えるけどどれも違うし、ラストにはリンチに
「ちげーよ」ってあざけ笑われてるような気がしてくる・・・


この映画が面白いかと言われると疑問ですね。
ただし、見入ってしまう映像力がある。


テンポだってそんなによくないのに
なぜかこの不思議な映像世界にどっぷりはまってしまっている自分がいる。

そしてデヴィッド・リンチの映画はどれも共通して不思議な世界観を持ち合わせている。

まったく、不思議な監督だ。


8点(10点満点)



2013年6月21日金曜日

バイオハザードIVアフターライフ 2010年/アメリカ映画/97分(12本目)



久々にひどすぎる映画を観た。

いや、確かに防衛本能が働いて公開中も決して手を出すこはなかったけど
この前テレビで放送されていたのを観て、興味を持った。


自分のホームグラウンドである東京の雨の降りしきる渋谷で
中島みかがゾンビになって人々を襲うシーンがなんとなくよさげだったからだ。


結果、それはやっぱり裏切られる形となった。


東京のシーンは冒頭だけであとはいきなり別の国に飛ぶ。

主人公がクローンでひたすら襲撃にかかるんだけど
やたらCGやらスローモーションやらの連続で完全にマトリックスのパクリ。


なんなんだこれは?
観ていて疑問に思った。


よくもまぁ日本の人気ゲームをこんなめちゃくちゃにしてくれたもんだ。


内容もあってないようなもんだし、
主人公がめちゃくちゃ強いし(強すぎるがゆえに全くドキドキしない)、
敵はサングラスかけていてマトリックスみてぇだし、
大勢のゾンビが出すぎてて、1体1体の怖さやグロさが全くないし、
とにかくこの出来栄えは最悪ですね。

監督は一体何をしたかったんでしょう?

日本人を冒頭に出しとけばひどい映画でも
日本での興行収入は見込めるだろう、と浅はかな考えが浮かびます
(実際、自分もだまされたけどネ)



ちなみにプリズンブレイクの主人公だったウェントアースミラーが出てますけど
ここでも牢屋にぶち込まれてますね。
ギャグなのか、パロディーなのか?

あとあの兄弟の設定いる?


ラストも次回作につながるようなエンディングだし
もういつまでやんだよってみんなからつっこみ待ちなのか、ふざけてるのか
よくわからないですね。


ホントにこんなひどい映画を観たのは久しぶりでした。

1点(10点満点)


2013年6月18日火曜日

小玉歩 『クビでも年収1億円 コミック版』 (3冊目)


ずいぶんと売れた本みたいで、これはそのコミック版。

電車の広告欄にやたらと一時期掲載されていたので何となく気にはなっていたので読破。


正直、本にするほどの内容でもない。



簡単にいうと著者は大企業のサラリーマンで数年がむしゃらに働いたが、
副業がバレて会社をクビになる。
そこからヤフーオークションを始め、せどり、メルマガとネットビジネスを始めることにより大成功をおさめる話。


いまの会社に不満があり、転職やら副業を考えてる人にはかなり刺激になる本ではないでしょうか。

ただ、本の内容が非常に薄っぺらい。


前半は、いかにサラリーマンがこれからの時代不利になるか
サラリーマンを全否定にかかってる。

確かにインターネットの発達や低賃金のアジア人の需要が増えたことにより
(学校で習ったことを仕事に活かす)知的労働の時代は古いのかもしれない。


けども、いくら筆者がサラリーマンをやめ、
インターネットビジネスで大成功したからといって
いまも昔も日本人の多くの人がサラリーマンなわけで
サラリーマンのおかげで日本は大きくなったし筆者も恩恵を受けてきたはずなのにそれを全く蔑ろにした考えはちょっと違和感があった。


この本を読んで会社をやめた人で大成功をおさめた人っているんですかね?

さらにヤフーオークションで荒稼ぎってそんなに簡単なものなのかな?


冷静に考えてみると、誰にでも当てはまる生き方ではないし
この本に100%影響を受けるのはあまりにも危険。


サラリーマン否定とネットオークションを始めようという
同じ様なフレーズが何度も出てくるし、この本は軽い洗脳に近いのかな。

自分にはなんだか怪しい商材の様な本といった印象。

まぁこうゆう生き方もあるよって程度で読んどくのが一番いいかも。


3点(10点満点)


シガー・ロス 『クウェイカー』 / 2013年 (3枚目)



シガーロスの7枚目のアルバム。

確か初めて彼らのライブを観たのが2005年のフジロックで、
マーズヴォルダの後だったからぐったり疲れて演奏中に立ち寝をしてしまった記憶がある。


でもそれほどシガーロスの音楽が心地よかった。
あれから8年間、ずっとシガーロスのファンです。

もうシガーロスは唯一無二の存在だし、
いまやレディへと並ぶくらい有名になったけど
そのスタンスは変わらないし、
いつ聴いても古いとか新しいとかそんな境地にいないバンドなんだなと思います。



さて、今回のアルバムはキーボードが抜けて3人になってからの初プロデュース作品とのことで
正直どうなるんだろうと思ったけど、それは杞憂に終わりました。


まず、ジャケットが黒い。
内容もそれに伴って、「黒い」という表現がぴったりかも。

白いジャケットと言えば3枚目の『()』だけども(あの作品こそが彼らの最高傑作と思う)あのアンビエントで静かな世界とは今回は明らかに対照的である。

内容も「黒くて重い」ものになってる。


1曲目から何か巨神兵みたいなのがゾ~と蠢いてる様な楽曲だし、
キーボが抜けて、逆にバンドサウンドを強調したような内容。

まぁ必然というかそうなるわな。


アルバム通すとホントに重いです。
いままでで一番重いし、比較的ハイテンションなアルバム。


ただ、重い暗闇の中に一筋の光がみえる様な(ベタベタな表現だけどそれが一番合ってるかな)アルバムになってます。


つまりこれまで以上に重めのバンドサウンドを強調しつつも展開やメロディなんかはやっぱりシガーロスと感じられるので安心してください。


でもね、やっぱり『()』が好きな自分としてはキーボードがないと物足りないかなぁ・・・


問題は次の作品ですね。
今回はキーボが抜けたことでそれを逆手にとった作品であったが
同じことを二回やるのはちょっと違うと思うので次回作を楽しみにします。


7点(10点満点)




2013年6月12日水曜日

西村賢太 『小銭をかぞえる』 (2冊目)



これはすごい本だ。


いまや有名人になり、メディアに露出する様になった西村賢太。

芥川賞の受賞時のインタビューで「そろそろ風俗にでも行こうと思ってた」発言で破天荒作家として世間を驚かせたが、本の内容もなかなか破天荒である。


知らない人の為に記載しとくけど、彼の作品は全て私小説である。
私小説とは自分を主役として私生活をそのまま書いたものである。


私小説で有名なのは太宰治の『人間失格』なんかがあるけど、
しかしだ。西村賢太に比べたら太宰なんて甘っちょろいと認識せざるおえない。



はっきり言おう。
西村賢太は最低最悪の男である。

中卒のうえ、定職にもつかず、親父は性犯罪で逮捕され、友人知人から金を無心し、その金を風俗に使い、女に暴力をふるい、そのくせ己の保身の為に土下座で泣きながら謝り通し、女の親から金を借り、惚れた風俗嬢に金をだまされ、成功者を、世の中を憎むアンチヒーローなのだ。


これがフィクションでなく私小説で描かれている。
平成の時代にもこんな破天荒な人物がいるなんて興味がそそられないわけがない。


そんな最低な男の話を一体誰が読みたいのか?

これが怖いもの見たさで共感を得ているから不思議だ。


彼の素晴らしい所は、そんな最低な自分を小説に書くことで一歩距離を置いて客観的に
、かつユーモラスに描いていることだ。

そして会話が実に秀逸。

昔の小説家である藤澤清造を師と仰ぎ、彼の文体に影響をもろに受けたせいで
昭和初期の文体調で、現代の話が書かれている為、ここに不思議なケミカルが生まれている。

自分の事を「卑猥犯の倅」、「色餓鬼」と表現したり、なかなか他の小説にはみない表現である。


西村の本は、基本、どの本も書かれてる内容は一緒である。
金がないだの、彼女と喧嘩しただの不毛な生活(貧乏たらしく、みじめで悲惨)が淡々と描かれている。
だからぶれない安定感がある。


西村賢太の本は全て読破したが、
中でもこの本が一番のお気に入りだ。


短編が2編収録されているのだが、
彼女(一応、付き合ってた彼女はいた)に子供が欲しいと言われ、こんなセリフを吐き捨てる。
「まともに話が通じる手合いもないから殆ど白痴や狂人と選ぶところがないよ。
ところかまわず糞小便を垂れるし、胃液を吐くし、どうにも小汚くて始末におえねぇ」


よっぽどのひねくれ者なのか子供をこんな風に表現する人はなかなかいない。

そんなことを言われたもんだから今度は彼女は犬のぬいぐるみを購入し、
溺愛していく。
その溺愛の仕方もかなり危ないが、喧嘩した時にそのぬいぐるみのクビを引きちぎりテレビの上に置いとくシーンは一種のホラー的でこの本の最大の山場なのでは・・・・


もう1篇も金の為に昔の知人を訪ねていく話は、一度読みだしたら止まらない西村ワールド炸裂なのだ。


こいつ、最低だな。とかいいつつも気づいたらどっぷり西村ワールドにはまってる自分がいたりする。

それはどこかしら西村賢太に近い感覚を自分も持っているせいなのか・・・


9点(10点満点)

2013年6月11日火曜日

サイレント・ヒル 2006年/カナダ・フランス映画/126分(11本目)


第2作が公開されることになるらしく久しぶりに再見。

実はこの映画観るの3回目なんです。

で、3回観て、3回とも気持ち悪い感じになったんです。

気持ち悪いというのは不気味な気持ちというか、不快感というか・・・

これってホラー映画としては大成功だと思うんです。



まず普通の映画としても3回観る映画なんてホントに少ないんですけど
この映画にはなぜか引き付けられるものがありました。

カナダとフランスの合作みたいですけどそこもよかったのかなと。

アメリカが作ったらこんな3回も観るような作品には仕上がってないか。
(化け物が出て拳銃でぶっ放して終わりという単純な映画に仕上がってそう)


観たことない人には軽く説明しますが、これは日本の「サイレント・ヒル」というゲームの実写です。

ゲームの実写というと超駄作『バイオハザード』がありますが、あんながっかり映画とは一線を画します。

出来が明らかにこっちの方が高い。


内容は何かに取り憑かれたかの様に「サイレントヒル」という謎のうめき声を発する娘の奇妙な言動に悩んでいた母親が、治療のために娘をサイレントヒルという街に連れていく話。

けど、そのサイレントヒルは30年前の大火によって多数の人々が死亡した忌まわしい場所であり、今では誰も近付かない廃墟と化した街でそこでのホラー体験映画。


この映画、観ていてドキドキするんですね。
これはホラーで一番大事なことなんじゃないですか?


自分は実はこのゲームやったことない人間なんですが終始ドキドキしてました。

ホラー映画っていきなりでかい音でびっくりさせてごまかしたり、ネタ振りが雑で明らかになんか出てくるのバレバレだったり、結構パターン化してますよね。


この映画では映像の暗さや、サイレン等の効果音の入れ方が絶妙なんです。
そのせいで人間の不快感を掻き立てる映像造りに成功してる。

嫌な心理状態で、なおかつ化け物の姿がホントにリアルで気持ち悪いです。


さらにテーマが魔女狩りや宗教が絡んできて、ただ単にモンスター映画だけでなく、
「人間が一番の悪」というメインテーマがしっかりあるので映画としても面白い。



褒めちぎってますけど難点もあるんです。


主人公の母親の描き方がロボット的なんです。

てゆうのもあんま怖がってない。



ふつうあんだけの体験をしたら怖すぎて何もできないですよ。
いくら娘を探すにしてもあんな怖い体験した後に一人でどんどん暗いトイレを歩けますかね?

自分ならきっと無理です、はい。

その描き方がゲーム的すぎて人間っぽさの描写が少し足りないような気がしました。

あとゲームやってない人が観ると少し物語も分かりずらいかな。

そんくらいです、減点は。


機会があればきっともう一回観るんだと思います。


8点(10点満点)

2013年6月5日水曜日

ダイ・ハード ラスト・デイ 2013年/アメリカ映画/98分(10本目)



昔めちゃめちゃ好きだったダイ・ハードの最後の作品

・・・と思ったら第6作の制作が決定したとかでどんどん興ざめしていくこのダイ・ハードシリーズ。

しかも今度は東京が舞台とかになるようでダイ・ハードファンとしてはなんだかなぁ・・・




あ、肝心の本作ですが、正直あまり面白くはありません。

確かにアクションは最近みた中では迫力があるんですけど。
映画館で観たんですけど脳を使わずに観る映画としては最適です。


けど内容が全くといっていいほどないんです。

プロットが雑。
昨日今日考えたようなストーリーか。

「悪い奴らをぶっ殺す」ってセリフもまるでセンスがない(そのまますぎて)


ダイ・ハードの魅力ってなんでしょうね。


一つ目は主人公ジョン・マクレーンの人間臭さかな。
ボロボロになりながら、愚痴を言いながら敵をやっつけていく、
決してカッコいいヒーローではないけど、彼の人間臭さが売りだったはず。
けど今回はまるで機械の様に敵を殺しまくってる。


二つ目は孤独。
一作目の中富ビルでたった一人でテロリストを倒していったり、
二作目でも飛行場を占領したテロを、しかもやたらとジョンを敵視する人物もいたりしてそれが物語にスパイスを与えてたり。
まぁ、三作目からは相棒が当たり前になってきたけど。


三つ目は悪役。
毎回悪役が個性豊かで物語を引き立ててたんですが、
今回の悪役はまるで魅力がなかったな。



あとアクションがすごすぎて、主人公が無敵すぎる。
CGを使いすぎててダイ・ハードとはもはや別モノと考えたほうがいいようだ。

あんだけロシアで人殺しまくったりしてて何事もなく帰国してきたけどどうなん?

てゆうかいつからジョン・マクレーンは殺人キラーになったんだ?



相当文句を言ってるけどここまで付き合ったんだから6作も観ますよ。
しかたねぇから。




jackass  2000年~2010年 / アメリカ番組・映画(9本目)



言わずとしれたジャッカス。


アメリカのおバカ番組と聞いてずっと倦厭してたけどひょんなことから鑑賞。

結果、大ハマりすることに。


ジョニー・ニックスビルを筆頭にレギュラーが毎回バカな事、無謀な事、思い付いても誰もやらないこと(ゲロでオムレツを作りそれを自ら食べるとか、ウン○の中にダイブするとか・・・)を身体を張って彼らが挑む。


だからゲロやウン○等の汚物は当たり前の様に出てくる為、
抵抗ある人いるかも。

というかほとんどの人は生理的にNGなのかな?

これが映倫に引っかからないわけがない。


それでもこの作品がこんなにもウケているのは
彼らがこんなバカバカしい事にひたむきに身体を張って挑戦するその姿に一種の感動すら覚えてくるのだ。


倫理的にアウトなものもいっぱいあるけどこれも「バカな外人だな」と半ば流す形で観ると
「もう勝手にやってろ」とこっちが諦めモードに。


これを観ると日本の身体を張った芸人がなんだか赤子の様に思える。


レギュラーの一人が事故で亡くなったけどもう続編はやらないのかな・・・。


ちなみに劇場版の一作目は日本が舞台だったりするからよかったらご覧ください。
責任は持ちませんけどネ。


7点(10点満点)


キム・ヨーソイ 『ファンタジン・フィンズ・イ・バークリゲーテン(ジャパン・セレクター』 / 2002年 (2枚目)

 
 
ノルウェー産のエレクトロニカ系。
 
 
このアルバムは未発表3曲を加えたり日本独自のアルバムらしい。
 
なぜか悲しいとこに日本では全くと言って知名度がゼロに等しい。
ホントに日本人ってこうゆう音楽に疎いよね。
 
 
食べものや服装なんかは海外のものをどんどん取り入れるくせして
音楽になるとJ-POPやK-POPばっかで保守的だ。
 
日本人は特に新しい音を求めてないんでしょうね。
 
 
まぁそんなことはいいとして、肝心のこのCDですが、
Aphex Twinやclarkを連想させる様な、
けどもっと暖かみのあるエレクトロニカといった感じかな。
非常にシンプルだが、妙に癖になる音。
 
 
日常の風景に自然に馴染む為、BGMとしてもかなりおすすめの一枚。
 
 
珍しく他のアルバムももっと聴いてみたいと思ったアーティスト。
 
 
 
8点(10点満点)
 

2013年6月4日火曜日

夢うるふたり 2012年/日本映画/137分(8本目)


『蛇イチゴ』『ゆれる』『ディア・ドクター』の西川美和監督。


小料理店を営む夫婦が火事で店を失い、
再び店を構えるという夢を叶えるために独身女性をターゲットに結婚詐欺を繰り返す姿を描いた作品なんだけど、


阿部サダヲが出てるけど結構重い映画になってる。


この監督はまだ『ゆれる』しか観たことないけど、
全体的になんか貧乏ったらしいんですよ。


「金」の貧乏って意味もあるけど
「精神的な貧乏」というか。

それが多分、この監督の「毒」なのかな。
今回もその「毒」は存分に映画に効いており、苦手な人は苦手な監督だろう(後味悪いし)。


浮気がばれた阿部サダヲを湯に入れ、
追い詰める松たか子の演技はホントにこわかった。


最初はまた店を出したいという夢の為に結婚詐欺を繰り返すが、
次第に、夫に夢中になる女どもに制裁を加えてやりたいという心の奥底に潜む復讐心によって動かされる松たか子の演技はなかなか見応えがある。


当初欲しかった金を手に入れれば入れるほど、
妻・松たか子はどんどん孤独になっていく。
その描写をエロシーン交えて描いている。


結局、ラストもハッピーエンドなんかでなく、
阿部サダヲが出てるからといってコミカルな演技を期待してると裏切られるかも。


6点(10点満点)