2013年8月26日月曜日

殺し屋1 2001年/日本映画/128分(16本目)



この漫画は大好きで、高校生の頃よく授業中に読んでた思い出がある。

当時その神がかり的な変態的内容にかなり衝撃を受けた記憶がある(授業中に)。

けれども「一番好きな漫画ってなに?」って質問で
「殺し屋1」って答えたら正直、人間性疑われますよ。
そんくらいヤバい内容。


そして三池崇史監督が映画化。


まぁ良くも悪くも三池作品ですよ。
もともとこの監督あんま好きじゃないですね。
仕事を選ばなく、効率主義の様です。
だから原作が好きでどうしても映画化したいって感じではないんじゃないですね。

今回の「殺し屋1」に関しても同じ事が言えます。


全体的になんか軽いです。
薄っぺらいというか。

期待はしてなかったけど、全く別のモノですね。
まず柿原が金髪な時点でもうすでに違う。
柿原=浅野忠信が映画のジャケットなんですけど、もうこの時点で
原作とは全く違うものでっせー感、開き直り具合が目につきます。


肝心の内容ですが
映画としては完全にB級です。

ただしそこまでひどいってわけでもないんです。


主人公の大森さんは意外にも結構ハマってたし
エグイ拷問シーンの数々は所々CG使ったりして頑張って再現しようとしてましたね。
オープニングの精液もリアルでした。
と思ったら、本物だったんですね(副音声で監督が言ってましたけど)。


キャストのイメージは正直全然違いますね。
あの鉄砲玉は老けすぎてるし、
キャバ嬢がなぜ中国人なのかだとか、
あの怪力兄弟は松尾スズキのイメージでは絶対にないですし
色々ギャップはありました。

ラストはちょっと笑ってしまいました。
ブラックコメディ調のあの感じは嫌いではないです。


全体的にちょっとオシャレにしすぎ感はありますけど
ただこれを映画化しようとした勇気は買います。
映倫の問題が相当あるでしょうね。
やっぱり10冊を2時間にまとめるって大変ですよね。

どのシーンを省いて、どのシーンを残すかはセンスですね。
今回の映画はそれが比較的よくまとまっていて2時間飽きずに観れました。


そでだけでも評価すべき点かな。


4点(10点満点)

2013年8月22日木曜日

諫山 創 『進撃の巨人』 (5冊目)


まぁ、十分話題になってるから今更自分がレビューしなくてもいいか思ったけど一応ネ。


「めちゃくちゃ面白い!」って友達にゴリ押しされて重い腰を上げて読んだけど
結果としてまぁ、そこまで絶賛する程でもないけど・・・

うん、面白いかな。


100年間高い壁で囲まれた街があって、平和に暮らしてたけど
その壁が突然巨人によって壊され、理不尽に人間が次々に食われいく。
目の前で母親を巨人に食われた主人公が巨人を駆逐する為、
兵隊に入る所からこの話は始まる。



作者はこの作品でデビューしたド新人。
しかも残念なことに画がめちゃくちゃ下手くそ。
1巻なんて高校生の漫画好きが授業中に落書きしてみましたという感じの画。

構図もおかしいし、まだまだ発展途上かな。


けどもそれを払しょくするかの様に
話のもっていきかたは非常にうまいな思う。


複線がたくさんあるけど、複線を敷きっぱなしではなく
ちゃんと回収しつつも、また新たな複線を敷く。
見せ方がうまいです。
アメリカのテレビドラマみたいです。
ただこれ全部ちゃんと回収できるのかな。


さっきは画が下手とは言ったけど巻が進むごとに上達していきます。
特に巨人VS巨人のバトルシーンは迫力あると思いましたね。
画が下手だけど読んでいくうちにさほど気にならなくなります。


あと巨人に対しての人間の恐怖心は非常にリアルかな。
ふつう、こういった漫画では勇敢な戦士は殺されるまで戦士でかっこよく死ぬパターンがありがちだけど
この漫画ではどんなにカッコいい奴でも最後は命乞いをして恐怖にまみれて死んでいく。

「死」の恐怖をとことん描いてるところなんかは従来の漫画とは違うかな。


そしてびっくりしたのが10巻です。
突然物語に大きな転換期が訪れるんです。最初は何言ってるんだろ?と思うんですけど
ちゃんと読んでみると、おいおい・・・ってな感じ。
で、ラストにはマジですか!って。
興奮しながら最新刊の11巻を読んだけど話が進んでねぇ・・・


で、また4カ月後ですか。


まだ完結してないし、何かとアニメ化だとか実写化だとか騒がれてますが
どうなんでしょうかね?
お隣の韓国でも大人気だそうです。


ここまできたら逃げずにちゃんと物語を完結させてほしいものです。
お願いだから「GANZ」の様に残念なラストにだけはしないで頂きたい。


正直、何とも言えないところもあるので
最新刊の11巻までの評価ということで。

7点(10点満点)

ジェーソン・ムラーズ 『Love Is a Four Letter Word 』 / 2012年 (4枚目)


ジェーソン・ムラーズはいつだったかのFUJI ROCKで観てからその魅力に気づいてしまった。

彼の歌声はホントに優しく耳に入ってくる。


で、この人の魅力はライブに尽きる!

演奏がホントにうまいし原曲をアレンジし、
oasis の「Wonderwall」をぶっこんできた「The Remedy (I Won't Worry)」だとか、
BoB Marley の「Three Little Birds」をぶっこんだ「I'm yours」なんかホントにサービス精神が旺盛で聴いてテンションが上がる。

観客と一体となって演奏してるからこっちも楽しみながら聴けるので
まさにライブで本領発揮するアーティストだと思う。

機会があればぜひ原曲を聴いてから、
YOU TUBEでライブ映像を観てほしいな。



だからでもないがジェーソンムラーズの場合、
オリジナルCD音源の印象がどことなく薄い印象がある。


今回もそれは同じで、ライブで演奏するともっとよくなるんだろうなと勝手に想像しながら聴いてみた。


今回特に印象的なのが「LOVE」という言葉の連呼。

見た目も以前の爽やかボーイ(勝手に俳優のヒューグラントと被る容姿)から
ヒゲを蓄え、髪の毛も伸び
一体彼に何が起きたんだ!?という位
見た目が変わったジェーソン。

なんでも世界的に成功したのにも関わらず、自分は全く無能で無意味な人間だと思う事があった様で、さらにずっと付き合ってたTPとの別れを経験したせいもあってか心境の変化があったのでしょう。

それは3曲目の「The Woman I Love」にもしっかり現れてる。
個人的にこの曲はこのアルバムで一番好き。


続く4曲目の「I Won't Give Up」は本人一番のお気に入りだそうで
この曲の思い入れは半端ないらしい。
なんでも毎日歌って自分のマントラみたいだとか。

どんだけ辛い思いしたんだよ。


まぁ、今回のアルバムは全体を通して1st、2ndの頃の爽やかイメージから
ヒゲを蓄え、何かを経た男のアルバムという印象でした。


7点(10点満点)

2013年8月19日月曜日

あだち充 『タッチ』 (4冊目)



改めて『タッチ』を大人買い。


いまさら名作のレビューなんざききたくねぇよという方は読まないでください。

自分でもあえて今更感満載でお送りします。



まぁ、野球に一切興味ない自分でも、
あだち充の作品は『H2』しかり『クロスゲーム』等あるが垣根なしに入り込める。


この『タッチ』も野球漫画というか
一人の女をめぐる恋愛がテーマで、野球はその恋愛劇を盛り上げるスパイスといったところ。

だから野球のルール知らなくても別に関係ない。


あと『タッチ』というとあのテーマソングが有名だけど
あの曲のせいでなんか毛嫌いしてる人もいると思う。

自分もそうでした。
あぁ『タッチ』でしょ?昔のアニメね、もういいよとか思ってましたから。


で、バカみたいに色んな人が『タッチ』は最高!とかぬかすから
自分で距離置いてたわけです。

だからこの作品を読むまで障害が多かったわけです。


で、読んでみると
「面白い」の一言につきる。


映画はともかく、漫画に関していうと周りの意見を聞いてハズレはないですね。


単純に設定がいいんですよ。

双子で弟は野球の秀才で女にモテるし性格もいい。
兄貴はやればできるのに弟の才能に嫉妬?しながら何でも中途半端。

で、隣の家に美少女の幼馴染が住んでる。
双子のどっちもが実はその子のことを思ってて・・・

これで面白くならないわけがない。


しかしこの作品の魅力は設定だけではない。
主人公 上杉たつやのキャラがいい。
相手の事を思うばかり自分の気持ちを二の次にする性格は同性もみていて
こいつ、かっけぇと思わざるおえない。


そしてカット割りが絶妙。
あだち充の作品はセリフが極端に少なく、
コマと絵のみで心情を表現するが特徴だが、
この技術、ホントにうまいと思う。

コマのあり方を熟知してるのか
漫画の見せ方を知らずにやってるのかわからないけど
流れるようなこのテンポは計算の上だとしたら、ホントにすごい・・・


褒めてばっかだとキモいので、
マイナス点も挙げとくと、


上杉たつや以外の明星学園の他のキャラが薄すぎる。
あまりに上杉たつやがすごすぎてるのでパワーバランスおかしくないか?と思う。
甲子園まで行くメンバーなんだから一人一人のキャラをもっと掘り下げてほしかった。

まぁその辺は『H2』では多少改善されてるけどネ。

今回はスタメン以外のキャラが薄いのは『スラムダンク』以上かも。


あと、あだち充はキャラのかき分けが下手と言われる。
確かにどの作品も同じ顔だ。
いや、微妙に違うんだけど似てるし画がワンパターンだ。

そこは物語でカバーしてるかな。


色々言いましたけど、作品にパワーがあるんで一度読んだらどっぷり世界観に入りこめますよ。

いまテレビで甲子園を放送してるけど、
『タッチ』の様なドラマがあるのかなと思うとちょっと観てもいいかなと思う。

8点(10点満点)


2013年8月5日月曜日

風立ちぬ 2013年/日本映画/126分(15本目)




宮崎駿の5年ぶりの新作「風立ちぬ」を観てきました。


率直な感想は、いい作品かどうかわからないけど決して面白い作品ではなかったです。


子供向けの映画ではないことは確かです。



ジブリにしては珍しく実在の人物、
ゼロ戦を作った堀越二郎が主役なんですが、
簡単に言うとNHKの「プロジェクトX」を無理やり2時間に水増しした様な映画です。



映画的にこれと言って山場がなく、
いきなり子供のシーンから大人へなっていたり、
気づいたら入社5年目になっていたり、
かなりシーンが飛ぶんですが、

かといって軽井沢のヒロインと再会するシーンがかなり長かったりバランスが悪い様に感じました。

途中からこれは恋愛映画なのか?って程。
正直、ヒロインが出てくるシーンはホントにダレた。
え、こっからかよ・・・みたいな。



あと、主人公の声優は「エヴァ」の監督さんだそうで。
最初は下手すぎて違和感があったけどこれは観てくうちに自然と気にならなくなりました。

「となりのトトロ」の糸井さんの時の様な棒読みだけど、
まぁこれも味なのかなって印象。


それから効果音を人間が出してるってことで話題になってますけど
はっきり言っていらない。
どう?やってやった感が伝わってくるんですけど
完全に監督のエゴじゃないですか。

観てる人からしたらちゃんとした効果音を出してほしいといのが正直な感想。

しかも全部が全部人間の効果音でなく
ES使ってるとこは使ってるんですよ。

それがすごい中途半端。


色々言いましたけど良い点もあります。
セリフです。

「何でこの国はこんなに貧乏なんだ」
「毎日、一日一日を大事に生きてるんだ」

これらの言葉は何か心に迫るものがありました。
子供が聞いても何も引っかかるものはないでしょう。


やっぱり色々な経験をしてきた宮崎駿だから出てきたセリフなんですかね。
非常に重いセリフがいくつかありました。



大人な映画って言うけれどどうなんですかね。
その時代を経験した人ならもっと入り込めたのかな。

観る人を選ぶ映画ではありますね。

ただ、宮崎駿が70代になって完全に爺さんとなってるわけで
若者との感性にギャップが生じることは確かだと思います。


まぁ、それは宮崎ブランドを確立してしまった宮崎駿の勝ちなんでしょうけど。
もうずっとジブリ作品って言ったら信者がいるし客はある程度入るでしょう。

意味わからない映画でも「今回は難解な作品だった」と信者なら良心的にとらえます。



はっきり言ってもう宮崎駿の作品はもういいかな。
前回もそんな事言ってまた観てるんで
まぁ、次回もなんだかんだ観てしまうのかもしれないけど
それもジブリ作品の魅力なのかな。


3点(10点満点)