久々に貫井徳郎の小説を読みました。
ストーリーは子供が殺される話です。
ただそれだけです。
じゃあ犯人は誰か?
こう言えばどこにでもあるようなミステリー小説ととらえられるかもしれませんが、
この小説の面白いところは簡単に言えば犯人は市民なんです。
車庫入れが苦手な女性、老人の愛犬家、娘を見返したい勘違いおばさん、
アルバイトの医者、姑と、うまくいかない嫁、家を立ち退かない老人、樹木検査の委託業者など
結構な登場人物が出てきます。
この分厚い本の内容を1行で説明すると
犬の糞を放置したことで人が死ぬ、そんな話です。
まぁ、当然直接犬の糞で人は死ぬわけないですから
そこには人間の普段何気ない小さな悪意の連鎖によって事故が起きるんですが。
被害者からしたらこれは殺人ととるわけです。
ところが法的に罰則を与えることができないのがこの話のみそです。
全体的に多少、作者の強引なご都合主義ですがよくできた本だと思います。
ラストまで精巧に計算してから書かないと書けない内容ですよ。
最後まで飽きさせずに読ませる文章力も貫井徳郎ですね。
7点(10点満点)
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